大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和43(さ)3 判決

主 文

昭和四三年三月二六日付の略式命令を破棄する。

右略式命令請求事件の公訴事実について被告人を免訴する。

理 由

記録を調べると、被告人は、昭和四二年一二月二六日松戸簡易裁判所において、

「被告人は自動車運転の業務に従事するものであるが、昭和四二年八月一四日午後

八時四五分ごろ普通乗用自動車を運転し、東葛飾郡ab番地先道路をc町方面から

柏市方面に向い時速約五〇キロメートルで進行中、同方向に進行中の大型貨物自動

車の右側を追い越すにあたり、反対方向からの交通および前車の前方の交通にじゆ

うぶん注意して進行すべき注意義務があるのに、これを怠り同車のみを注視して漫

然同一速度で追い越しを開始した業務上の過失により、前方左側に停止していたA

(当二八年)運転の普通乗用自動車に自車を衝突させ、よつて同人に加療約一ケ月

を要する頸部鞭打ち損傷の傷害を、同車に同乗していたB(三〇年)に対し、加療

約三週間を要する頸部鞭打ち損傷の傷害をそれぞれ負わせたものである。」との事

実につき、刑法二一一条前段、一八条、五四条、罰金等臨時措置法二条一項、三条

一項により罰金二万五、〇〇〇円(換刑処分二五〇円を一日)に処する旨の略式命

令を受け、この裁判は昭和四三年一月一二日に確定したところ、その後被告人は、

同年二月二九日松戸区検察庁検察官事務取扱検察事務官から松戸簡易裁判所に、前

記と同一の事実につき公訴提起と同時に略式命令を請求され、同年三月二六日同裁

判所において、前記と同一法条により、同一内容の略式命令を受け、この裁判は、

同年四月一一日確定した事実を認めることができる。

右によれば、後に起訴を受けた松戸簡易裁判所は、すでに同一公訴事実について

確定した略式命令があるのであるから、右起訴にかかる公訴事実については、刑訴

法三三七条一号により、判決で免訴の言渡をすべきものであつた。しかるに、これ

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を看過して重ねて同一事実につき略式命令をしたことは違法であり、かつ被告人に

不利益なものであることは明らかであるから、本件非常上告は理由がある。

よつて、同法四五八条一号により、昭和四三年三月二六日付の略式命令を破棄し、

同法三三七条一号により免訴の言渡をすることとし、裁判官全員一致の意見で、主

文のとおり判決する。

検察官 横井大三公判出席

昭和四四年二月二七日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 長 部 謹 吾

裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 松 田 二 郎

裁判官 岩 田 誠

裁判官 大 隅 健 一 郎

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